銀色の鱗。
 
 
 
■ それから何年か経ち、私も大人になった。
 泣きはしないが、気配は分かるようになった。
 その彼女は幸せになったけれども、相手の気持ちは知らない。
 
 
 
■ 若かろうが、そうでもなかろうが、ある時にそういうことは起こる。
 体調と空白と、それから具体的な場所の問題だと思う。
 シーツにきらきらしたものが残っている。
 時間が経つと、それは虹色に変わったりする。
 ややほとぼりの醒めた、接していた部分に、結晶のような細かな断片が絡みついている。
 薄い灯りの下で、銀色の鱗のように見える。
 コントラストが奇麗だとも言えるが、厳密には単なる生理現象なのだろう。
 そこから、愛が生まれることもあるけれど。